研究目標

 本研究課題においては、陶磁器プロセス(原料・成形技術・焼結から製品まで)を支える各要素技術に科学のメスを入れることにより、「やきもの技術の体系化」を目指すとともに、高性能「やきもの」の新たな用途の可能性を検討し、陶磁器産業の競争力強化に貢献する。具体的には、@やきもの成形原料の科学的解析、A陶磁器の強度・信頼性向上、B釉薬・顔料によるやきものの高機能化、C高機能やきものの開発、Dやきもののリサイクル、の5つのチームで研究を行い、最終的にはそれらを統括することにより、目的を達成する。

チームの研究概要
  1. やきもの成形原料の科学的解析
     肥前地区におけるやきもの成形では、主として陶土の可塑成形や原料鉱物スラリーの鋳込み成形が用いられている。本研究チームでは、各種陶土の特性を評価し、可塑性に与える各特性の影響を明らかにする。また、原料スラリーの特性を測定し、鋳込素地の基本物性との相関を明らかにする。

  2. 陶磁器の強度・信頼性向上
     陶磁器の新しい用途展開を幅広く視野に入れる場合、陶磁器を安全に安心して使うためには、従来以上に高い強度が要求される。強度の支配因子を明確化し、強化メカニズムに基づいた定量的な材料設計を陶磁器について行う。さらに、素地の化学組成の見直しや施釉による強化も併せて検討し、陶磁器のさらなる高強度化を目指す。

  3. 釉薬・顔料によるやきものの高機能化
     陶磁器で用いられているセラミックス顔料は焼成中に発色が変化することがあり、また、伝統的な顔料の中には有害成分を含むものも少なくなく、代替材料の開発が望まれている。本研究では、顔料本来の色で製品を表現し、さらに有害成分の溶出も防ぐため、顔料粒子の処理法を開発する。また、結晶釉に着目し、生成結晶の位置および形の制御、発光特性の付与について研究する。

  4. 高機能やきものの開発
     低コスト材料を用いたIH加熱の熱サイクルに耐えるIH対応磁器ならびに製造工程に電磁気的プロセスを導入することで、低コストで高品質な新規IH対応陶磁器製品を開発する。また、多孔質セラミック膜の処理による新規なろ過・吸着膜を開発する。

  5. やきもののリサイクル
     廃石膏型枠および陶磁器廃材のリサイクルに取り組む。折しも、コンクリートやモルタルに配合する骨材資源は枯渇しており、また廃石膏型枠および陶磁器廃材はセメントあるいはジオポリマーへの配合の可能性を有している。本研究では、高特性の廃棄材料/(セメント、ジオポリマー)複合体を開発する。